アメリカには遺留分の制度はないのでしょうか

日本の民法では、配偶者、子供、両親については、法定相続分の2分の1の割合で遺留分を有することになります。配偶者と子供2人が相続する場合、配偶者の遺留分は4分の1、子供のそれぞれの遺留分は8分の1となります。被相続人の遺言により、遺留分を侵害された相続人は(法定相続分の2分の1までもらえなかった相続人)、遺言書の中で遺産を受領することになった人に対して遺留分侵害額請求(古い名称は遺留分減殺請求)を起こすことができます。これに対し、アメリカでは遺留分の制度はありませんので、遺言により財産を一切もらえなかった法定相続人も、遺留分侵害額請求権を行使することはできません。

その結果、遺産相続の準拠法が何かという問題が重要になってきます。準拠法が日本法の場合は、遺留分侵害額請求が可能であるのに対し、アメリカ法が適用になる場合は、遺留分侵害額請求を起こすことはできません。