包括承継主義と管理清算主義の違いについて教えてください

相続財産について、外国の現地法が適用になる場合には、プロベイトと呼ばれる手続きの対象となる可能性もあります。日本は包括承継主義を採用しており、被相続人の資産・負債が包括的に相続人に相続されるため、遺産管理人の関与が必要ではないことから、相続人は、直接金融機関などと相続財産である預金の払い戻しのための交渉をすることができます。ドイツ、フランス、イタリア、スイスなどの大陸法系諸国でも包括承継主義を採用しています。

これに対して、アメリカやイギリスなどの英米法系の国では、遺産承継について管理清算主義をとっているため、遺言の有無に関わらず、相続財産は、日本などのように直接相続人に承継される(このような制度は包括承継主義と言われます。)のではなく、裁判所の監督下で行われる清算手続(この手続きがプロベイトと呼ばれます。)を経て、残った積極財産のみが相続人に分配されることになります。そのため、日本での遺産分割協議や、遺産分割調停・審判、遺言書の効力がそのままプロベイトで裁判所により承認されるとは必ずしも限りません。