被相続人が海外居住中に死亡した場合に相続放棄はどのようにすればいいでしょうか
被相続人が海外に居住中に海外で死亡した場合、死亡したのが日本人の場合であっても、日本の裁判所は相続放棄に関する管轄を有しません(家事事件手続法3条の11)。
しかし、日本人が海外で死亡した場合でも、日本での負債等を残したまま死亡し、相続放棄が必要なケースが考えられます。家事事件手続法の管轄に従えば、この場合、被相続人が死亡した国で相続放棄をすることが必要となりますが、その国の法律では相続放棄の制度がない場合もあります(アメリカ合衆国などがこれにあたります)。仮に、相続放棄がない国の場合においては、その国の裁判所で相続放棄の手続ができないことになりますので、日本の民法に従って債務が承継され、債務を負うことになり、相続人に対し不当に不利益な結果が生じることになります。
このような場合においては、日本の裁判所で上申書を出し、緊急国際管轄を認めてもらうことによって、例外的に日本の裁判所で相続放棄の手続を行うという手段が存在します。