韓国民法による相続人と相続分について教えてください
韓国民法では、配偶者・直系卑属・直系尊属・兄弟姉妹・4親等以内の傍系血族が法定相続人とされています(韓国民法1000条1項)。
第1順位の相続人は直系卑属です(同法1000条1項1号)。直系卑属が複数人いる場合は被相続人に最も近い親等の直系卑属が先順位となり、先順位者が複数人いる場合は共同相続になります。子と孫がいる場合は子が先順位、子が複数人いる場合は子の共同相続となります。また、韓国民法1003条1項では、被相続人の配偶者は、被相続人の直系卑属と同順位で共同相続人になると定めています。また、韓国民法1009条1項では、同順位の相続人間では、相続分を均等としていますが、同条2項では、被相続人の配偶者の相続分については、直系卑属の相続人と共同で相続する場合は、直系卑属の相続分の5割を加算するとしています。
その結果、配偶者の相続分は直系卑属の相続分の1.5倍となります。例えば相続人が配偶者と子供2人の場合、相続分は、1.5:1:1となりますので、配偶者の相続分は7分の3となり、子供のそれぞれの相続分は7分の2となります。なお、配偶者は直系卑属や直系尊属とは同順位の共同相続となりますが、それらの者がいない場合は単独相続となり、兄弟姉妹と共同相続にはなりません。このように相続人が子ではなく直系卑属とされている点(相続人の範囲に関する問題)や、配偶者の相続分に関する問題(相続人の相続分に関する問題)などにおいて日本の民法と韓国民法は異なる規定となっています。遺産相続に関する日本の民法と韓国民法との間にはその他にも様々な違いが存在します。
従って、韓国国籍の方の遺産相続においては韓国民法の解釈を行うことが必要となります。