service

アメリカのプロベイト手続き

資産の世界的分散投資によって、アメリカに財産(不動産、銀行預金、証券、保険、年金)を有する日本人が増えてきています。アメリカに財産を有する日本人が亡くなった場合、アメリカ国内にある財産については、遺産財団(Estate)という財団を構成し、プロベイト(probate)手続きというアメリカの相続手続きを経て初めて日本の相続人に分配されることになります。プロベイト手続きは、アメリカの裁判所の管理下において、相続財産の調査・評価を行い、税金その他の負債を支払い、残った財産を相続人に分配する手続きです。栗林総合法律事務所は、アメリカに財産を有する日本人のプロベイト手続きをサポートしています。アメリカにおけるプロベイト手続きについてお知りになりたい場合は、栗林総合法律事務所までお問い合わせください。

目次

プロベイトとは

プロベイト手続きとは、被相続人の相続財産を相続財団として裁判所の監督下に置いて管理処分し、残った財産を相続人や受益者に対して分配する手続きです。アメリカ、カナダ、香港、シンガポール、マレーシア、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド等、かつてイギリス領であった国においては、プロベイト手続きが取られることになります。

プロベイト手続きの申し立て

プロベイト手続きの申立ては、被相続人の死亡届出書、相続人の戸籍謄本、住民票、婚姻証明書、本人確認書類、遺産の概要などを裁判所に提出して行います。日本語で作成されている書類については英語に訳し、翻訳証明書を添付する必要があります。戸籍謄本等については、公証役場で認証を受け、アポスティーユを付けることが必要となります。裁判所は、申立人から提出された書類を確認し、被相続人の死亡、相続人と被相続人との関係、相続財産の内容、相続債務の有無などについて確認ができた段階で、Grant of Probate(遺言書がある場合)、またはLetters of Administration(遺言書がない場合)の決定を出します。栗林総合法律事務所では、アメリカにおけるプロベイト手続きの申立てのサポートをしています。アメリカにおけるプロベイト手続きの申し立てを検討されている方は是非栗林総合法律事務所までお問い合わせください。

プロベイトの一般的流れ

プロベイト手続きでは、裁判所(Surrogate CourtまたはFamily Court)から選任された人格代表者(personal representative: 遺言で指定された遺言執行者(executor)または裁判所が選任した遺産管理人(administrator))が、被相続人の財産を集めて財産目録を作成し、遺産の管理をし、被相続人の債権者に対して債務の弁済を行い、税金の申告をし、残余財産を権利者に分配します。権利者である相続人や受遺者の範囲については、裁判所で行われるプロベイト手続きにおいて、有効と判断された遺言及び州法に従って確定されることになります。相続財産である預金が存在する金融機関は、裁判所が発行した証明書(遺言執行者であれば letters testamentary、遺産管理人であれば letter of administration)を有する者に対して預金の払い戻しを行い、その後、裁判所で確定された権利者の範囲に従って分配されることになります。

プロベイト手続きの問題点

プロベイト手続きについては、様々な問題点が指摘されています。日本の遺産相続に比較し、時間と費用がかかることが最大の問題点です。プロベイト手続きについては、申し立て段階から相続財産の分配がなされるまでに、通常の場合で10か月から1年かかり、長い場合は2年から3年の期間を要することになります。また、プロベイト手続きの申し立てについては現地の弁護士の協力が不可欠ですが、弁護士費用についても数百万円から1千万円くらいかかるケースが多くあります。大部分は相続財産の中から支払われるとしても、アメリカの弁護士費用については極めて高額になることも多くありますので、注意しておく必要があります。プロベイト手続きにおけるその他の問題点としては、プロベイト手続き中は、相続財産の利用ができないことです。相続人が日本で相続税の支払いをしようとしても、アメリカでのプロベイトの期間中であればアメリカにおける相続財産を処分し、その代金で相続税の支払いをするということができません。

相続財産が少額の場合(Small Estate Affidavit)

多くの州では、プロベイトの対象財産が少額の場合には、プロベイトを省略する方法が認められています。少額の場合に通常のプロベイトを経なくてよい方法として、「少額の遺産財団についての宣誓供述書(Small Estate Affidavit)」の方法による場合と「簡略化されたプロベイト(Simplified Probate Procedures)」の二つがあります。

例えば、カリフォルニア州では、相続財産が166,250ドル以下の場合(相続財産の中には55,425ドル以下の不動産を含みます。)には、プロベイトの代わりに「宣誓供述書(Small Estate Affidavit)」による手続きをすることができます。相続人は、自らが財産を承継する資格があることを述べた宣誓供述書を作成します。被相続人の資産を有する個人や銀行などの金融機関は、宣誓供述書と死亡診断書の写しの提出を受けたら、保有する資産をリリースします。被相続人の死亡から40日間はこの制度を利用することができません。

また、カリフォルニア州において遺産の価額が166,250ドル以下の場合には、宣誓供述書を利用する手続の他に、「簡略化されたプロベイト(Simplified Probate Procedures)」をとることも可能です。この手続きはsummary probateとも呼ばれます。相続人や受益者が被相続人の住所地または被相続人の財産が存在する州の裁判所に簡易手続きを求める書面(請願書)を、遺言書の写しと、遺言執行者の書面による同意書ともに提出します。166,250ドルの財産からは、カリフォルニア州外の不動産、joint tenancy の財産、生存配偶者に承継される財産、生命保険、死亡給付金、および指名された受益者に承継されるプロベイトの対象とならない財産、複数の当事者の銀行口座と死亡保険金の銀行口座、トレーラーハウス、登録された船舶、登録済み自動車、16,625ドルまでの給与、リビングトラストを含む信託された財産などが、控除されます。なお、この手続きにも40日間の待機期間があります。

ハワイの場合も、ハワイの不動産の価格が10万ドル以下の場合は、Small Estate Affidavit(少額の遺産にかかる宣誓供述書)を作成することで、正式なプロベイト手続きなしに遺産相続を完了させることができます。

栗林総合法律事務所では、アメリカ国内に少額の遺産が存在する場合における少額の遺産財団についての宣誓供述書(Small Estate Affidavit)の手続きや、簡略化されたプロベイト手続き(Simplified Probate Procedures)の手続きについて日本の相続人の皆様のサポートを行っています。Small Estate AffidavitやSimplified Probate Proceduresをお考えの皆様は、是非栗林総合法律事務所までお問い合わせください。

リビングトラスト(Living Trust)の作成

リビングトラスト(Living Trust)(生前信託)は、自己が有する財産の一部を信託財産管理人に譲渡し、信託財産管理人から将来金銭の支払いを受けられる権利(受益権)を取得するものです。信託契約の中で、自分(信託設定者)が死亡したときに信託受益権をだれが承継するかを指定することもできます。生前信託も、被相続人が生前にある特定の財産を相続財産から切り離すという点では贈与と同じ効果を有します。リビングトラスト(Living Trust)(生前信託)を行っている場合、プロベイトの手続きを回避することができます。アメリカでもっとも一般的に利用されているプロベイトの回避方法です。栗林総合法律事務所ではリビングトラストの作成支援を行っています。リビングトラストの作成については栗林総合法律事務所までお問い合わせください。

栗林総合法律事務所のサポート業務

栗林総合法律事務所では、アメリカにおけるプロベイト手続きの申立て支援、プロベイト手続きの進行管理、日本サイドで必要となる各種書類の作成、相続財産の分配のサポートなどを行っています。アメリカのプロベイト手続きに関する栗林総合法律事務所のサービス内容は次の通りとなります。

  • プロベイトの申し立て手続きに関するコンサルティング
  • アメリカの弁護士の紹介および選定
  • プロベイト申し立て手続きのサポート
  • アメリカの弁護士との間の連絡調整
  • 日本での戸籍謄本、除籍謄本などの取得、公証手続き
  • 宣誓供述書(Small Estate Affidavit)の作成支援
  • リビングトラスト(Living Trust)の作成支援
  • アメリカにおける遺産税の申告のアドバイス及びサポート
  • 相続財産の送金手続きのサポート
  • 日本での相続税の申告のサポート