カリフォルニア州における遺産相続

  • 公開日:2024年05月13日

【執筆者情報】

栗林 勉

代表・パートナー弁護士、米国ニューヨーク州弁護士

栗林総合法律事務所の代表。米国ニューヨーク州の弁護士資格を有する国際弁護士。海外に資産のある方の相続手続きの他、国際的紛争の解決や国際取引に関する契約書の作成、中小企業の海外進出支援など、国際法務に関する業務を幅広く扱う。X(旧Twitter)

目次

カリフォルニア州の相続手続き

日本に住所を有する日本人がカリフォルニア州に財産(コンドミニアムや銀行預金等)を残して死亡した場合には、相続人や被相続人が日本人の場合であっても、相続人だけで自由に遺産の分割を行うことはできません。

ご親族が日本で死亡し、その方の遺産相続をする過程で、死亡した方がカリフォルニア州に銀行預金や不動産を有していたことが分かった場合には、プロベイト手続き(遺言執行者又は財産管理人を選任し、相続財産を管理処分してもらう方法)を取ることが必要かどうかを確認することが必要となります。

また、カリフォルニア州の法律と日本の法律では、相続人の範囲や法定相続分に違いがあります。
日本の法律とカリフォルニア州の法律のいずれが適用になるかによって結論に違いが生じてくることになります。

準拠法の決定

カリフォルニア州の遺産相続については、不動産(土地・建物)と動産、銀行預金、有価証券等について、どこの国の法律が適用になるかを検討する必要があります。これが準拠法の決定の問題です。

ドミサイルに基づく準拠法

日本の国際私法では、相続に関する準拠法は被相続人の本国法とするとされています(法の適用に関する通則法36条)。

従って、日本人が死亡した場合の遺産相続については、日本法が適用になることになります。
日本の法律というのは日本の民法のことであり、日本の国際私法に基づくと、相続人が誰になるか、相続分がどうなるか、相続放棄や遺留分について、日本の民法の規定が適用されることになります。

これに対し、カリフォルニア州の国際私法では、被相続人の住所(ドミサイル)に着目し、住所の存する国の法律が被相続人の財産の管理及び承継についての準拠法であり、かつ管轄権を有するというのが原則です。

ドミサイル(domicile)とは居住の意思をもって定住している場所をいいます。
アメリカ国籍の人でも日本に居住する意思で日本に居住している場合は日本にドミサイルがあることになります。

また、日本に居住している日本人は、日本にドミサイルがあることになります。
従って、日本に居住する日本人や、日本に居住するアメリカ国籍の人については、ドミサイルは日本にありますので、日本の法律が適用になることになります。

一方、カリフォルニア州に居住している日本人は、日本国籍であってもカリフォルニア州にドミサイルがあるとされ、遺産相続についてはカリフォルニア州の法律が適用になる可能性があります。

相続分割主義

日本の国際私法では、被相続人の本国法が日本であれば、全ての相続財産に対して日本法が準拠法となります(相続の統一主義)。

これに対して、カリフォルニア州の国際私法では、相続の分割主義が取られており、不動産(土地、建物、アパート、マンション)については、被相続人のドミサイルに関係なく、財産の所在地の法律が適用になります。

その結果、日本人がカリフォルニア州に不動産を所有していた場合、当該不動産の遺産相続については、カリフォルニア州の相続法が適用されることになります。

反対にカリフォルニア州に住んでいるアメリカ人が日本で不動産を所有していた場合、日本にある不動産の遺産相続については、日本の相続法が適用になります。

これに対し、動産や流動資産(預金、現金、株式、個人的所有物)については、個人が死亡したときに有していたドミサイル(domicile)の相続法が適用になります。

日本に居住していた日本人が被相続人の場合、ドミサイルは日本にありますので、日本の相続法が適用になります。

その結果、日本に居住する日本人がカリフォルニア州にマンションと銀行預金を残して死亡した場合、マンションについては、相続人の範囲や相続分についてはカリフォルニア州の法律が適用になるのに対し、銀行預金については、相続人の範囲や相続分については日本法が適用になることになります。

遺産分割協議がなされた場合

日本に居住する日本人が日本とカリフォルニア州に財産を残して死亡した場合、日本の通則法によれば被相続人の本国法である日本の法律が全ての相続について適用されることになります。

一方で、上記の通り、カリフォルニア州の国際私法では、カリフォルニア州に所在する不動産についてはカリフォルニア州の法律が準拠法となるのに対し、動産や流動資産については被相続人のドミサイルがある地の法律が適用になります。

そこで、相続に関する準拠法の考え方が異なるために、結局どちらの法律が適用になるのかが問題となります。

まず、カリフォルニア州に存在する不動産については、相続人がカリフォルニア州に行って売却手続をしようと思ったとしても、その相続人が相続財産に対する管理処分権限を有することを証明することができませんので、最終的にカリフォルニア州の裁判所にプロベイトの申立てを行って財産管理人を選任する必要が出てきます。

そこでカリフォルニア州の裁判所に財産管理についての申し立てを行う必要が出てきますが、この場合、カリフォルニア州の裁判所はカリフォルニア州の国際私法を適用することになります。

その結果、このマンションの遺産相続については、相続人が誰かという問題や、各相続人の法定相続分については、カリフォルニア州の法律によって決まることになります。

但し、相続人の全員が遺産分割協議書にサインして分割方法を定めている場合は、カリフォルニア州の裁判所も遺産分割協議書による相続を認めることになると思われます。

その結果、相続人全員の間で遺産分割協議が成立している場合は、準拠法がカリフォルニア州法になるか日本法になるかは大きな問題とはなりません。

これに対し、相続人間で遺産相続について争いがある場合は、カリフォルニア州の裁判所としては、カリフォルニア州の法律を適用せざるを得ないことになると思われます。

カリフォルニア州法による相続人と相続分

被相続人が遺言書を残している場合、遺言書の記載内容に応じて遺産が分割されます。

カリフォルニア州法には遺留分の制度はありません。被相続人が遺言書を残していない場合、カリフォルニア州法に基づく法定相続人が、カリフォルニア州法(プロベイトコード)に定められた相続分に基づき相続します。

被相続人に生存する配偶者がいる場合といない場合で法定相続分は異なってきます。

被相続人に配偶者がいる場合(プロベイトコード6401条)

被相続人に子供も親もいない場合

被相続人の配偶者が100%相続します。

被相続人に子供が1人いる場合

コミュニティプロパティ(夫婦共有財産)は配偶者が全部取得します。セパレートプロパティ(特有財産)は配偶者が2分の1を取得し、子どもが残りの2分の1を取得します。

被相続人に子供が2人以上いる場合

コミュニティプロパティ(夫婦共有財産)は配偶者が全部取得します。セパレートプロパティ(特有財産)は配偶者が3分の1を取得し、残りの3分の2を子供が平等に取得します。

被相続人に子供がなく、親がいる場合

コミュニティプロパティ(夫婦共有財産)は配偶者が全部取得します。セパレートプロパティ(特有財産)は配偶者が2分の1を取得し、残りの2分の1を親が取得します。

被相続人に子供も親もなく、兄弟姉妹がいる場合

コミュニティプロパティ(夫婦共有財産)は配偶者が全部取得します。セパレートプロパティ(特有財産)は配偶者が2分の1を取得し、残りの2分の1を兄弟姉妹が取得します。

*なお、コミュニティプロパティ(夫婦共有財産)とは、婚姻または内縁関係中に取得した財産のことです。
配偶者ないし内縁者が一緒に所有している全てのものは通常コミュニティプロパティ(夫婦共有財産)に該当することになります。負債も含まれます。
但し、婚姻や内縁関係中に夫婦の一方が贈与や相続で取得した財産は含まれません。
コミュニティプロパティは、負債も含め、夫と妻(ないし内縁関係者)が半分ずつの割合で共有しています。

*これに対し、セパレートプロパティ(特有財産)は、婚姻前または内縁関係となる前に取得していた財産のことです。
婚姻中や内縁関係にある間であっても、配偶者や内縁者に生じた相続財産や贈与財産はセパレートプロパティ(特有財産)となります。
セパレートプロパティ(特有財産)から得た借金や利益、その他の金銭もセパレートプロパティ(特有財産)となります。
セパレートプロパティは取得者個人の財産となります。

被相続人に配偶者がいない場合(プロベイトコード6402条)

被相続人に子供がいる場合

被相続人の子供が相続します。

被相続人に子供がおらず、親がいる場合

被相続人の親が相続します。

被相続人に子供も親もいない場合

被相続人の兄弟姉妹が相続します。

被相続人に子供、親、兄弟姉妹がいない場合

被相続人の祖父母が相続します。

被相続人に子供、親、兄弟姉妹、祖父母がいない場合

被相続人の祖父母の直系卑属が相続します。

カリフォルニア州のプロベイト手続き

日本に住所を有する日本人がカリフォルニア州に財産(マンション、コンドミニアム、銀行預金等)を残して死亡した場合のプロベイト手続は、被相続人に遺言がある場合と遺言がない場合で異なります。

被相続人に遺言がある場合は、Probate(遺言検認手続き)という手続きにより、申立人が裁判所に対して遺言執行者の選任申立てを行い、これに対して裁判所が遺言執行者(executor)を選任する決定を行います。

遺言執行者を選任する決定をGrant of Probateと言います。

被相続人に遺言がない場合は、財産管理手続きにより、申立人が裁判所に対して財産管理人を選任するよう申し立て、これに対して裁判所が財産管理人(administrator)を選任する決定を行います。

財産管理人を選任する決定をGrant of Letters of administrationと言います。

裁判所の決定であるGrant of ProbateとLetters of administrationの両方を合わせて、代理人選任決定(Grant of Representation)と呼ぶことがあります。

この決定が出されることで、executor(遺言執行者)やadministrator(財産管理人)は相続財産の管理・処分についての正式の権限を有することになります。

プロベイト手続きにおける裁判所の役割

プロベイト手続の中で、裁判所は、①遺言の存在や有効性の判断、②相続人や相続開始時の受益者の把握、③被相続人の財産価額の把握、④相続人や承継人への被相続人の財産の分配手続などを行います。

遺言執行者や財産管理人は、裁判所の監督の下で、被相続人の財産の収集、負債や経費の支払い、残りの財産を相続人や受益者に分配する手続を、被相続人の個人の代表(personal representative)として実施します。

プロベイトが完了して財産が相続人に渡るまでには、9カ月から1年半、場合によってはそれ以上かかることになります。

プロベイト手続を行う際には、裁判所の指示に基づいて、日本で作成した公正証書遺言や戸籍謄本などにアポスティーユを付したり、英訳文を添付したりする必要があります。これらの手続きはかなり複雑ですので、詳細については栗林総合法律事務所までお問合せください。

IAEA (the Independent Administration of Estates Act )の適用

裁判所によるプロベイトの手続は時間がかかります。

カリフォルニアでは、裁判所による事前の承認なく財産の処分ができるようにするために、IAEA (the Independent Administration of Estates Act )という法律があります。

IAEAの適用を受けるためには、遺言執行者または財産管理人は、IAEAの適用を受けたい旨の申立てを明示的にする必要があります。

これが認められると、遺言執行者や財産管理人は、プロベイト裁判所から許可や監督を得る必要なく、財産の売却、税金の支払い、債権者からの請求に対する承認または拒否などをすることができます。

「配偶者による財産の請願(Spousal Property petition)」

残された配偶者や国内で登録されたパートナーが承継する遺産については、「配偶者による財産の請願(Spousal Property petition)」を裁判所に提出することにより、財産を確認し配偶者に相続させる方法をとることも可能です。

配偶者による財産の請願は、プロベイトの裁判所に対して申請書を提出する必要がありますが、通常は法廷での1回の審問で終わり、通常のプロベイト手続よりシンプルで迅速な処理が可能です。

また、この方法により配偶者や登録されたパートナーに移転できる財産の額には制限がありません。

財産が少額の場合の特例

カリフォルニアでは、プロベイトの対象財産が少額の場合には、プロベイトを省略する方法が認められています。

少額の場合に通常のプロベイトを経なくてよい方法として、「宣誓供述書(Affidavit)」による場合と「簡略化されたプロベイト(Simplified Probate Procedures)」の二つがあります。

「宣誓供述書(Affidavit)」による手続

相続財産が166,250ドル以下の場合(相続財産の中には55,425ドル以下の不動産を含みます。)には、プロベイトの代わりに「宣誓供述書(Affidavit)」による手続をすることができます。

相続人は、自らが財産を承継する資格があることを述べた宣誓供述書を作成します。

被相続人の資産を有する個人や銀行などの金融機関は、宣誓供述書と死亡診断書の写しの提出を受けたら、保有する資産をリリースします。被相続人の死亡から40日間はこの制度を利用することができません。

「簡略化されたプロベイト(Simplified Probate Procedures)」

遺産の価額が166,250ドル以下の場合には、宣誓供述書を利用する手続の他に、「簡略化されたプロベイト(Simplified Probate Procedures)」をとることも可能です。

この手続きはsummary probateとも呼ばれます。相続人や受益者が被相続人の住所地または被相続人の財産が存在する州の裁判所に簡易手続きを求める書面(請願書)を、遺言書の写しと、遺言執行者の書面による同意書ともに提出します。

166,250ドルの財産からは、カリフォルニア州外の不動産、joint tenancy の財産、生存配偶者に承継される財産、生命保険、死亡給付金、および指名された受益者に承継されるプロベイトの対象とならない財産、複数の当事者の銀行口座と死亡保険金の銀行口座、トレーラーハウス、登録された船舶、登録済み自動車、16,625ドルまでの給与、リビングトラストを含む信託された財産などが、控除されます。

なお、この手続きにも40日間の待機期間があります。

不動産の取り置き

被相続人の不動産および私有財産の価値が20,000ドル以下の場合、配偶者または未成年の子供は裁判所に不動産を「取り置き」するように依頼できます。これは、プロベイト手続よりもはるかに簡単です。

Joint Tenancy及びリビングトラスト

亡くなった人がjoint tenancy、配偶者との共有、リビングトラストの形態で財産を保有している場合には、これらの遺産についてはプロベイトを経る必要はありません。

合同所有者であること、信託の受益権者であることなどを証明することにより、現地の弁護士に依頼して、直ちに不動産の登録名義の変更を行うことができます。

カリフォルニア州の税金

カリフォルニア州の税金については、死亡日までの個人所得に対する所得税と相続税申告書を提出することになります。

カリフォルニア州の居住者ではない場合、株式、債権、紙幣、無形の私物からの収入にカリフォルニア州の税金を払う必要はありません。

プロベイトの途中で不動産を売買して収入を得た場合には、この収入は、死亡日前までの個人所得には含まれませんが、別途不動産所得税申告書の提出と不動産税の支払いをする必要があります。

不動産に対して個別の納税者番号が取得され、被相続人の社会保障番号の代わりに使用されます。

日本における相続税の申告

日本では、相続人は相続が開始してから10カ月以内に、相続税(inheritance tax)の申告書を提出する必要があります。

日本の法律によれば、被相続人の死亡時に、相続人は被相続人の財産を包括承継するのが原則で、相続税は相続人に対して課されるものです。被相続人がカリフォルニア州にマンションや銀行預金を有していた場合、これらのマンションや銀行預金についても相続財産の一部として日本で相続税の申告を行うことが必要です。

日本の相続人は無制限納税義務者となりますので、カリフォルニア州のマンションや銀行預金についても日本の相続税が課せられることになります。

アメリカの連邦遺産税

一方で、アメリカに所在する財産に対しては、連邦政府に対して納付する連邦遺産税と、州法に基づいて納付する州の遺産税の2種類の遺産税を納付する必要があります。

日本の相続税が相続人に対して課されるのと異なり、アメリカの遺産税は、遺産に対して課されるものであるという点で、日本とアメリカの制度は異なります。

アメリカの連邦遺産税の対象

アメリカの連邦遺産税については、被相続人が死亡した時に、被相続人や相続人が日本国籍であるかどうか、被相続人や相続人が日本に住所を有していたかどうかは関係ありません。

アメリカ国内に所在する財産については相続人や被相続人の国籍や住所に関係なく遺産税の対象となります。

不動産(家、アパート、コンドミニアム)や動産(車、家具、芸術品)などの有体物がアメリカ国内に物理的に存在する場合は、米国内の財産とみなされます。また、アメリカの金融機関に預けている銀行預金、アメリカの会社が発行した株式、アメリカの投資組合への投資口などの有価証券については、連邦遺産税の目的上はアメリカにある財産とみなされ、課税対象となります。

これに対し、州の遺産税が課せられるかどうかは州ごとに異なります。連邦遺産税の申告期限は9カ月とされています。

連邦遺産税の控除

アメリカ人の場合には、申告期限までにきちんと申告を行えば、連邦遺産税は遺産額が1361万ドルになるまで控除されます(2024年の場合)。

一方、外国人に対する連邦遺産税については、アメリカにある遺産の額が6万ドルまで(税額でいうと1万3000ドルまで)しか控除されないことになりますので、アメリカ国内にある財産の時価(及び生存中に贈与を受けた財産の額)が6万ドルを超える場合には、6万ドルを超える部分について最大で40%の連邦遺産税が課せられることになっています。

従って、アメリカにおける相続税の額は極めて高額になる可能性があります。また、州の遺産税も課税されますので、合計の税額は極めて高く(財産の時価の50%近くに)なります。

アメリカ合衆国の相続税条約

上記のように外国人がアメリカ国内に財産を残して死亡した場合、極めて高額の連邦遺産税や州の遺産税が課税される可能性があります。

これに対して、アメリカ合衆国との間で相続税条約(estate tax treaty)が締結されている国の国民については、アメリカ市民と同じ扱いを受けることができ、その結果、連邦遺産税は遺産額が1361万ドルになるまでの控除が受けられます(2024年の場合)。

従って、相続税条約の適用になる国の国民については、かなりの割合で連邦遺産税の支払いが生じないことになります。但し、州の税金については特別の控除はありません。

現在アメリカ合衆国は、17か国との間において相続税条約(estate tax treaties)を締結しています。

日本もアメリカとの間で日米譲渡税条約(Japan-United States: Transfer Tax Agreement (1954))を締結しており、同条約の第4条において、米国が、財産が米国内にあることを理由として、その財産に対して相続税を課税しようとする場合に、一定額の相続税額を控除することを米国に求める規定を設けています。

本条の目的は、米国人であれば相続税額の控除を受けられる場合には、日本人も同様に控除を受けられるとし、もって相続税に関する米国人と日本人との間における内外平等を図ることにあります。

したがって、日本人については相続税条約に基づく申告を行うことで、アメリカ市民が死亡した場合と同様に取り扱われることになります。
一方アメリカでの申告を怠った場合は、相続税条約に基づくメリットを受けられなくなる可能性がありますので、注意が必要です。

連邦遺産税の申告

アメリカの市民権やアメリカにおける住所(ドミサイル)を有していない外国人がアメリカに相続財産を残して死亡した場合、死亡の日から9か月以内に、IRS(内国歳入庁)に対して、US Federal Estate Tax Return(連邦遺産税申告書)を提出することが必要となります。

連邦税の申告については、 Form 706-NAというフォームに基づいて作成されることになります。

なお、アメリカにおける申告期間については、Form4768という申請書を提出することで6か月間延長することができます。

日本人が日米租税条約の適用を受けて、アメリカ国内での連邦遺産税の控除を受けるためには、米国市民ではなく米国に常居所を有していない人の米国内の遺産に対応する相続税(及び世代間財産移転税)の申告書であるフォーム706-NA、すなわち上記遺産に関連し、米国連邦税法6114条、7701条(b)に規定された租税条約に基づく免税の特典を享受する旨の開示報告書を、IRSの規定の書式にしたがって提出することになります。

その際、故人の財産状況を示す目的で、日本の相続税申告書などを添付資料として提出する必要があります。
栗林総合法律事務所では、アメリカにおける連邦遺産税の申告業務のサポートを行っています。

世界各国の遺産相続手続のコラムのご紹介

当事務所で扱ったカリフォルニア以外の世界各国の遺産相続手続きについて書かれたコラムをご紹介いたします。下記のコラムでは各国の遺産相続手続きについて詳しく書いていますのでタイトルをクリックしてぜひご参照ください。