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アメリカの遺産税の申告手続き
アメリカに住所を有しない日本人がアメリカに不動産や銀行預金を残して死亡した場合で、アメリカ国内にある財産が基礎控除の額(6万ドル)を超える場合、アメリカでの遺産税の申告が必要となります。相続人がアメリカに住所を有するかどうかにかかわりません。遺産税の申告を怠った場合は延滞税が課せられることになります。但し、日本はアメリカとの租税条約がありますので、申告期限内に遺産税の申告を行い、租税条約の届出を行うとアメリカ国籍の人と同様高額の基礎控除が受けられます(2024年の場合基礎控除額は1361万ドル)。大部分の日本人は法定申告期限内に適切な申告を行うことを怠っているため、上記のメリットを受けられず多額の税金を支払わなければならないリスクにさらされています。6万ドル以上の相続財産がある場合は、必ず連邦遺産税の申告を行うことが重要です。栗林総合法律事務所は、アメリカの連邦遺産税の申告書の作成や提出手続きをサポートしています。
目次
連邦遺産税の申告書(Form706-NA)作成のサポート
アメリカ合衆国の市民ではなく、アメリカに居住していない人が亡くなった時にIRSに提出する遺産税の申告書は、フォーム706-NA(連邦遺産税申告書)となります。従って、アメリカに住所を有しない日本人が亡くなった場合で、アメリカにある遺産の額が6万ドル以上の場合は、相続人はフォーム706-NA(連邦遺産税申告書)を作成し、IRSに提出することが必要となります。フォーム706-NA(連邦遺産税申告書)には、被相続人がアメリカ国内に有した財産だけでなく、世界中で所有する全ての財産について申告する必要があります。栗林総合法律事務所では、フォーム706-NA(連邦遺産税申告書)の作成及び提出についてのサポートを行っています。アメリカにおける連邦遺産税の申告手続きを検討されている方は栗林総合法律事務所にお問い合わせください。
租税条約の適用申請のサポート
オーストラリア、オーストリア、カナダ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、日本、オランダ、南アフリカ、スイス、イギリスの各国は、アメリカ合衆国との間において遺産税に関する条約(Death Tax Treaty)が締結されています。日本もこれらの国に含まれていますので、アメリカ人と同様の基礎控除を受けることができます。日本人が連邦遺産税申告書(フォーム706-NA)を提出する際には、条約の適用があることについての説明書を添付する必要があります。日米租税条約の適用があることを申請する様式をフォーム8833(Treaty-Based Return Position Disclosure)と言います。フォーム8833では、1955年4月1日に発効したUnited States-Japan Transfer Tax Agreementの適用により、日本人についてはアメリカ合衆国の市民と同額の控除を受けることができること、及び控除の額については、遺産の一部がアメリカ合衆国以外にある場合は、アメリカ合衆国に所在する遺産の割合を乗じた額に限られることなどを記載した説明書を添付することになります。例えば、被相続人の死亡時におけるアメリカ合衆国の連邦遺産税の基礎控除額が15億円で、アメリカ合衆国に所在する遺産の割合が世界全体のうち10%に相当する額に限られる場合は、アメリカ合衆国における基礎控除額は、15億円×10%=1億5000万円となります。
連邦移転証明書(Transfer Certificate)の取得のサポート
被相続人がアメリカの証券会社に証券口座を有していた場合でアメリカ国内の遺産を海外(日本)に送金しようとする場合、証券口座の解約にプロベイト手続きは必要とされませんが、代わりにアメリカの証券会社から連邦移転証明書(Transfer Certificate)(フォーム5173)の提出を求められます。アメリカの証券会社は、海外への送金をする際に連邦移転証明書の提出を受けることを法律により求められていることから、連邦移転証明書の提出がない限り証券会社の口座にある金銭の送金を許可してくれません。証券会社が移転証明書の取得なしに証券口座にある遺産のリリースをした場合、その証券会社が未納の税金を納税者に代わって支払う義務を負うことになります。外国人の遺産相続に関してフォーム5173を要求することにより、外国人の遺産相続については、アメリカ国内できちんと遺産税を支払わない限り、アメリカ国内の遺産を海外に持ち出してはいけないということになります。このように連邦移転証明書(フォーム5173)は、アメリカ合衆国の徴税機関であるIRSが、アメリカでの遺産税の支払いがなされており、未納税金がないことを確認することにより、アメリカにある遺産を海外に持ち出すことを承認するものです。栗林総合法律事務所では、アメリカに証券口座を有したままお亡くなりになった日本人の遺産相続において、連邦移転証明書(Transfer Certificate)の取得手続きをサポートしています。
相続財産が少額の場合の宣誓供述書(Small Estate Affidavit)の作成サポート
アメリカの市民でない人が亡くなった場合で、遺産の額が6万ドル以下の場合は、フォーム706-NAの提出は必要ありませんが、この場合であっても遺産をアメリカ国外に送金しようとする場合にアメリカ合衆国の金融機関から連邦移転証明書(Transfer Certificate)の提出を求められる場合があります。連邦移転証明書(フォーム5173)は、外国人の遺産相続に関し、遺産税の支払いがなされてり、未納の税金がないことをIRSが確認するものです。アメリカ合衆国の遺産の額が6万ドル以下の場合は、フォーム706-NAの提出は行いませんが、相続人は、遺言書の写し及びその翻訳文、日本における相続税申告書及びその翻訳文、死亡証明書及びその翻訳文、公証人役場で作成する宣誓供述書(Affidavit for Non-Resident Alien Estates)をIRSに提出することで連邦移転証明書を取得することができます。宣誓供述書(Affidavit for Non-Resident Alien Estates)には、被相続人の出生地及び生年月日、被相続人がアメリカ市民でないこと(アメリカ市民権を取得している場合は市民権の取得日)、死亡日において被相続人がアメリカ国内で有していた全ての財産及びその評価額、死亡日における被相続人の国籍及び住所、アメリカの預金がアメリカ国内での事業に使用されていたかどうかについての説明などが含まれます。栗林総合法律事務所では、相続財産が少額の場合の宣誓供述書(Affidavit for Non-Resident Alien Estates)の作成をサポートしています。
州の遺産税の申告手続きのサポート
日本人がアメリカに財産(土地・建物、銀行預金、保険、年金等)を残して死亡した場合、連邦遺産税の他、州の遺産税が課税される可能性があります。州の遺産税の基礎控除額や税率については州ごとに異なりますので、その都度確認する必要があります。相続財産の一部がアメリカ国内にある場合の遺産相続においては、アメリカの連邦遺産税の他、州の遺産税についての検討も必要となります。栗林総合法律事務所では、州の遺産税の申告手続きをサポートしています。
栗林総合法律事務所のサポート業務
栗林総合法律事務所では、連邦遺産税の申告書の作成・提出についてのサポートや、連邦移転証明書の取得手続きのサポートを行っています。栗林総合法律事務所における主なサービス内容は次の通りとなります。
- アメリカにおける連邦遺産税の申告についてのカウンセリング
- 日本及びアメリカにおける相続財産の調査
- アメリカの弁護士及び会計士との連絡調整
- 日本の税務申告書の作成及び翻訳のサポート
- 連邦遺産税申告書(フォーム706-NA)の作成・提出サポート
- 連邦移転証明書(Transfer Certificate)の取得手続きのサポート
- Small Estate Affidavitの作成サポート