アメリカ人と結婚した日本人の公正証書遺言作成をサポートしたケース
相談状況
依頼者X(日本国籍の女性)はアメリカ人のご主人Yと結婚し、約30年間カリフォルニア州で居住しています。
XとYとの間に子供はいません。
Xはアメリカに3000万円相当の銀行預金や証券口座を保有していますが、日本にもご両親から相続した一軒家(時価5000万円相当)を所有していました。Xとしては、アメリカの財産については、自分の死後ご主人の親戚に相続してもらいたいと考えていましたが、日本にある財産については、自分の兄弟が相続し、もし自分の兄弟が自分より先に死亡している場合は、兄弟の子供(甥、姪)に相続してもらいたいと考えていました。
また、自分の死後、アメリカでプロベイト手続きが行われる場合は、アメリカの相続財産管理人(administrator)と連絡を取りながら日本の相続手続きを代理して行ってくれる人を探していました。
そこで、Xは栗林総合法律事務所で国際相続を多く取り扱っているとの情報を得て、栗林総合法律事務所に連絡を取ってきました。
解決方法
日本の財産についてアメリカの親族の協力なしに受遺者(法定相続人以外で相続財産を承継する人)に引き渡すためには、公正証書遺言を作成しておくことが最も好ましいと考えられます。
また、日米間をまたぐ国際相続においては、日本の遺言執行者とアメリカの財産管理人が緊密に連絡を取り、財産の承継手続きや相続税の支払い手続きなどを行っていく必要があります。
そこで、Xとしては、アメリカの財産管理人と英語でコミュニケーションをとり、相続手続きを行ってくれる相続財産管理人を探していたところでした。栗林総合法律事務所では、国際相続の手続きや発生する相続税(アメリカでは遺産税)の申告手続きなどを説明し、日本で公正証書遺言を作成すること及び当事務所の弁護士が遺言執行者になることをアドバイスして、無事に公正証書遺言の作成を行うことができました。
なお、Xの公正証書遺言では、第1段階として兄弟に相続させるとしておき、兄弟が自分より先に亡くなった場合は、第2段階として甥と姪に相続させるとしていますが、このような補充遺言についても有効とされています。
また、Xとしては、もし遺言執行者として指名された栗林が自分より先に死亡する場合を心配されていましたので、遺言執行者についても第1段階として栗林が就任することとし、もし栗林が遺言者よりも先に死亡した場合は、栗林総合法律事務所の別の弁護士が遺言執行者になるという内容の遺言を作成することで、この点についての懸念も払しょくすることができました。