セパレートプロパティであるカリフォルニア州の不動産を相続したケース

相談状況

依頼者(日本に在住する日本人の男性)のお姉様(日本国籍の女性)は若いころにアメリカに移住し、アメリカ人と結婚して、30年近くアメリカ(カリフォルニア州)で生活してお亡くなりになりました。お姉様とご主人(アメリカ人)との間にはお子様はいらっしゃいません。お姉様がお亡くなりになる時に、お姉様は5000万円相当の銀行預金と、1億円相当の不動産を所有していました。この内5000万円相当の銀行預金はお姉様が結婚した後、ご主人との共同生活の中で築いてきた財産ですが、1億円相当の不動産については、もともとお姉様が日本人の両親から相続した財産によりアメリカ人の夫と結婚する前に取得したものです。依頼者は、お姉様の遺産手続きがどのようになるのかを知りたいということで、栗林総合法律事務所に相談に来られました。

解決方法

日本の通則法(国際私法)によれば、被相続人の本国法が相続についての準拠法となりますので、お姉様が日本国籍を有している以上日本の法律が準拠法となります。一方、カリフォルニア州の国際私法では、カリフォルニアに所在する不動産についてはカリフォルニア州の法律が準拠法となるのに対し、動産や流動資産については被相続人のドミサイルがある地の法律が準拠法となります。

本件では、相続財産はカリフォルニア州にありますので、カリフォルニア州の相続財産の相続については、カリフォルニア州の国際私法によって準拠法が定まることになります。その結果、カリフォルニア州の国際私法の適用により、銀行預金についてはお姉様のドミサイルのあるカリフォルニア州法が適用になり、カリフォルニア州にある不動産については、不動産所在地法であるカリフォルニア州の法律が適用になることになります。カリフォルニア州のプロベイトコード(遺産相続に関する法律)では、被相続人に子供も親もおらず、兄弟姉妹がいる場合は、コミュニティプロパティ(夫婦共有財産)については、配偶者が全部取得し、セパレートプロパティ(特有財産)については、配偶者が2分の1を取得し、残りの2分の1をセパレートプロパティ所有者の兄弟姉妹が取得することとなっています(セパレートプロパティの所有者が配偶者より先に亡くなった場合も15年以内であれば同様の手続きが取られます)。

本件では、カリフォルニア州にある不動産についてはセパレートプロパティであると認められ、不動産の譲渡代金(1億円)の半分である5000万円が日本にいる兄弟姉妹に分配されることになりました。栗林総合法律事務所では、依頼者が有する権利関係についてのアドバイスを行うとともに、依頼者が確実に5000万円の相続財産を取得することができるようアメリカの相続財産管理人(administrator)と連絡を取りながらプロベイト手続きをサポートしていきました。カリフォルニア州の相続法は特殊ですので、相続人の範囲や相続人の相続分に関する問題については専門家にご相談いただくことをお勧めします。

関連記事