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エステートプランニング
エステートプランニングとは、相続財産の処理方法について、生前に計画しておくことを言います。正しいエステートプランニングを行うことで、相続財産をめぐる紛争を避け、過大な相続税の支払いを回避し、プロベイト手続きなど時間と経費のかかる手続きを回避することができます。皆様の相続財産が、皆様のお考え通りに分配されるようにするためにも、エステートプランニングは重要となります。
目次
遺言書の作成
日本人の場合のエステートプランニングとしては、遺言書の作成を行うことが最も基本と考えられます。遺言書には、自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言があります。相続人や相続財産の状況を考えながらどのような種類の遺言書が適切かを検討する必要があります。
遺言執行者の指定
遺言書の中で遺言執行者を指定している場合、相続の発生後ただちに遺言執行者が就任し、故人の遺志に沿った遺産の分配を行ってもらえることが期待されます。遺産の分配に関する紛争を回避するためには、遺言執行者の指定についても検討されることをお勧めします。特に外国に相続財産がある場合など、国際的要素を有する遺産相続については、手続きが極めて複雑となりますので、国際相続を専門とする遺言執行者を選定していないと遺言執行ができないということにもなりかねません。
Willの作成
相続財産が日本国内だけでなく、日本国外にも存在する場合は、日本国内だけでなく、外国にある財産の所在地で遺言書(アメリカの場合はwill)を作成することも検討されます。日本国内において日本語で作成された遺言書が、財産が所在する外国において同様に有効なものと認めてもらえるかどうか判明しないからです。日本と外国においてそれぞれ遺言書を作成する場合は、遺言書相互の間で矛盾が生じないように注意する必要があります。
任意後見契約またはDurable Power of Attorneyの活用
財産を有する方が痴ほう症になるなどして意思能力を欠くことになる場合に備えて、任意後見契約書を作成し、任意後見人を指定しておくことも考えられます。任意後見人は意思無能力となった本人に代わり財産の処分などの法律行為を行うことができます。アメリカに財産がある場合は、Durable Power of Attorney(持続的委任状)を作成します。Durable Power of Attorneyについては、個人の財産管理(ファイナンス)に関するものと、医療行為(Health Care)に関するものがあります。カリフォルニア州やニューヨーク州などでは、公開されたフォーマットがありますので、それに従って作成します。Durable Power of Attorneyは、後日その効力を争われることのないようにするため、公証人(Notary Public)の面前で作成するのが通常です。
成年後見人、保佐人、補助者
財産を有する方が痴ほう症などにより意思無能力となった場合には、成年後見人や、保佐人、補助者を選任して、療養看護の他、法律行為の代理をしてもらうこともできます。意思無能力になっているかどうかの判定は医師の診断書によって行うことになります。アメリカに財産がある場合は、現地の裁判所に申し立てを行うことでGuardian(意思能力を喪失した場合の後見人)の選任をしてもらうことも可能です。
プロベイト手続きの回避
アメリカ、カナダ、イギリス、香港、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールなどイギリス連邦に所属していた国に財産を有していた人が亡くなった場合、それらの国に所在する財産については、プロベイト手続きの対象となる可能性があります。しかしながら、プロベイト手続きは多額の費用と長い期間を要するのが通常であり、相続人の負担は極めて大きなものとなります。そこで、プロベイト手続きを回避するために生前にどのような対策を講じることができるのかがエステートプランニングの中心となります。
法人の設立
アメリカなどイギリス連邦に所属していた国に銀行預金、証券口座、不動産などを有する個人が死亡した場合、亡くなった方の所有していた財産はプロベイト手続きの対象となることになります。相続財産の全部または一部を個人所有から法人所有に変更しておく場合、相続が発生してもプロベイト手続きは必要ないことになります。そこで、法人を設立し、相続財産を法人所有としておくこともエステートプランニングとして検討されることになります。
Revocable Living Trust
Revocable Living Trustとは、撤回可能生前信託のことを言います。信託の設定者は自らの生存中は信託対象財産を自由に処分することができ、信託契約自体を理由なしに取り消すことも可能です。Revocable Living Trustを設定した場合、信託財産は被相続人の財産(遺産)とはみなされませんので、被相続人が死亡した場合にもプロベイトの対象とはなりません。Revocable Living Trustはもっとも一般的に用いられるプロベイト手続きの回避方法です。
ジョイントアカウント(Joint Account)
被相続人がアメリカなどに一定額以上の銀行預金を有していた場合、プロベイト手続きを取らない限り預金の払戻を受けられなくなる可能性が高いと言えます。これに対し、銀行口座がJoint Account(共同名義口座)の場合は、共同名義人の一人が死亡した場合には、残りの口座名義人が自動的に残りの預金について権利を有することになりますので、プロベイト手続きの対象とはなりません。夫婦でJoint Accountを設定しておくことはもっとも簡単なプロベイト手続きの回避方法であると言えます。Joint Accountは、現地の金融機関に届け出を行うだけで設定することができます。
POD(Payable on Death)
POD(Payable on death)とは、銀行口座の開設時点で、預金者が、自分が死んだときに預金口座の権利が移転する先を指定している銀行口座のことを言います。預金者が死亡した時点で、銀行口座については自動的に受益者に移転することになりますので、当該銀行預金については相続財団を構成せず、プロベイトの対象とはなりません。
ジョイントテナンシー(Joint Tenancy)
ジョイントテナンシーは合有状態にある不動産の所有形態のことを言います。Tenancy by the Entirety with the Right of Survivorshipとも言われます。夫婦でコンドミニアムを所有する場合などにジョイントテナンシーの方法が用いられます。この場合、夫婦の一方が死亡した場合、死亡した者の財産は何らの法的手続きを経ずに残された配偶者の所有になります。残された配偶者の権利が自動的に50%から100%に増えることになります。このようにジョイントテナンシーの権利はプロベイト手続きの対象にはなりません。
TODD(Transfer on death deed)
TODD(Transfer on death deed)とは、死亡時譲渡証と訳されるもので、被相続人が死亡したときに、不動産の所有権が自動的に、不動産の受取人(beneficiary)に移転することを記載した証書です。TODDを作成している場合は、当該遺産については、被相続人の死亡と同時にTODDで指定された受益者に移転しますので、裁判所の監督下で遺産を確定し分配するプロベイト手続きの対象とはなりません。
栗林総合法律事務所のサポート業務
栗林総合法律事務所では、エステートプランニングに関するアドバイスを行っています。栗林総合法律事務所では、日本国内の財産に限らず、世界全体の財産を対象として、円滑な遺産分割手続きや相続税の節約を行う方法についてアドバイスします。栗林総合法律事務所のサービス内容は次の通りです。
- 公正証書遺言の作成
- Willの作成サポート
- Revocable Living Trustの作成サポート
- 成年後見人、保佐人、補助者の選任
- Durable Power of Attorneyの作成サポート
- プロベイト手続き回避の方法についてのアドバイス
- 外国における相続税(遺産税)についてのアドバイス
- 日本での相続税についてのアドバイス