香港でプロベイト手続きを行ったケース

相談状況

依頼者(日本国籍のご夫婦)の娘様(X)は、日本の大学を卒業した後、香港の証券会社に就職し、香港で10年ほど働いていました。娘様(X)は結婚しておらず、お子様もいらっしゃいませんでした。ある時病院の精密検査で癌に侵されていることが分かり、日本に帰国し、日本で治療に専念していましたが、病状は回復することなく、帰国後1年目にお亡くなりになりました。相続人はご両親のみとなります。お亡くなりになった娘様(X)は、香港に勤務していた時に香港上海銀行に1000万円ほどの預金を有しており、お亡くなりになるまで払い戻しを受けていませんでした。遺産相続にあたり、香港の銀行預金の相続(日本への送金)についてはプロベイト手続きが必要と聞いたご両親が栗林総合法律事務所に相談に来られました。

解決方法

香港にある銀行預金を相続するためには、香港においてプロベイト手続きをとることが必要となります。栗林総合法律事務所では、香港の法律事務所を依頼者に紹介し、その法律事務所により香港のプロベイト手続きを行ってもらうことにしました。死亡証明書、除籍謄本、相続人関係図、相続人の戸籍謄本などの必要書類については栗林総合法律事務所で英訳するとともに、アポスティーユを取得し、香港大使館での認証を受けています。また、本件では、被相続人Xが長く香港に居住していたことから、日本と香港のいずれの国がドミサイル(定住の意思をもって継続して居住している場所)になるのかが問題となります。栗林総合法律事務所では、香港の裁判所(High Court of Hong Kong)に提出する意見書(Affirmation of Law)の中で、Xは日本に帰国し1年近く日本で生活していることや、今後香港で生活する意思を有していなかったことから、被相続人のドミサイルは日本にあり、日本の法律が準拠法となることを法律意見書の中で記載しました。また、法律意見書には、除籍謄本や戸籍謄本などから、ご両親が唯一の法定相続人であると言えることを記載しております。その結果、香港の裁判所から、当方が指定した香港の弁護士(申立代理人弁護士)をAdministratorに指名する旨のLetter of Administrationの発行を受けることができ、無事に銀行預金の解約をすることができました。

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