遺言執行者としてシンガポールのプロベイト手続きを行ったケース

相談状況

依頼者は日本国内に居住する日本人の男性ですが、従前シンガポールに住んだ経験があり、シンガポールの銀行預金を有していました。ある時、依頼者は、病院の検査ですい臓がんであることを宣告され、余命が数か月であることが判明しました。病気が判明した段階では、既にがんの進行が進んでおり、自分でシンガポールに行き、銀行預金を解約する体力も残されていませんでした。そこで、自分が亡くなった後に、両親が海外の財産を相続することになると、両親に大きな負担をかけてしまうのではないかと心配されていました。そこで、遺産相続が発生した場合にも、相続人に負担をかけないようにする方策についてお聞きしたいということで栗林総合法律事務所に相談に来られました。

解決方法

栗林総合法律事務所では、シンガポールの銀行預金に関する公正証書遺言を作成し、栗林総合法律事務所の弁護士を遺言執行者に指名するようアドバイスしました。依頼者からは、全て当事務所の指示に従うとの回答が得られ、公正証書遺言を作成することになりました。実際には、依頼者の病状は既にかなりの程度に悪化していましたので、依頼者が自ら公証役場に出向いて公正証書遺言を作成する余力はありませんでした。そこで、栗林総合法律事務所で公証役場と調整を行い、依頼者の入院している病院まで公証人に来てもらい、病院で公正証書を作成することになりました。その後、依頼者はお亡くなりになりましたが、栗林総合法律事務所は当初の約束に従い、遺言執行者となってシンガポールの銀行預金の払い戻し手続きを行うことになりました。実際には、シンガポールではプロベイト手続きが必要となっていましたので、当事務所からシンガポールの事務所に連絡をとり、プロベイト手続きを進めてもらうことで、銀行預金の払い戻しに成功することができました。シンガポールのプロベイト手続きでは、日本における公正証書遺言が真正なものであり、栗林が遺言執行者として権限を有することについての宣誓供述書(Affidavit)の提出を求められています。

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