連邦移転証明書を取得し、投資ファンド持分の払い戻しを受けたケース
相談状況
日本人Xはお亡くなりになった時点で、ニューヨーク州の投資ファンドに対して1億円弱の出資持分を有していました。
投資家が死亡したことは出資持分の解約事由に該当していましたので、Xの相続人は、有限責任組合契約(Limited Partnership Agreement)に基づき、投資ファンドの無限責任組合員(General Partner)に対して、組合契約の解約と拠出金の払い戻しを請求しました。
無限責任組合員(General Partner)からは、拠出金の払い戻しを行うためには、連邦移転証明書(Transfer Certificate)の提出が必要であると言われまた。
解決方法
株式への投資を目的とした投資信託持分についてはプロベイトの対象となりません。
一方、投資ファンドの無限責任組合員からは、IRSの連邦移転証明書の提出を求められることが一般的です。
これは、アメリカ国内での未払い税金が存在しないことをIRSに確認してもらい、海外への資金の送金を認めてもらうために必要となる書類です。
IRSから連邦移転証明書(Transfer Certificate)を取得するためには、IRSに対して連邦遺産税の申告書(Form706-NA)を提出し、日米租税条約の適用により、アメリカでの遺産税が生じていないことを明らかにする必要があります。
また、アメリカの連邦遺産税の申告書では、アメリカ国内の相続財産だけでなく、被相続人が有した全世界にある相続財産をIRSに対して申告する必要があります。栗林総合法律事務所では、アメリカの弁護士と協力しながら、連邦遺産税の申告書(Form706-NA)を作成し、IRSに提出しています。
その後IRSは、提出された情報が正確であり、アメリカ国内で未納税金が生じていないことを確認の上、クロージングレター(Estate Tax Closing Letter)を発行してくれました。
栗林総合法律事務所では、現地の弁護士と連絡を取りながらフォーム5173(連邦移転証明書)の申請書を作成し、IRSに提出しています。フォーム5173(連邦移転証明書)の申請書を提出してから半年後、IRSから連邦移転証明書(Transfer Certificate)の発行を受けることができました。
栗林総合法律事務所では、投資ファンドの無限責任組合員(General Partner)に対して連邦移転証明書(Transfer Certificate)を提出し、無事に拠出金の払い戻しを受けることができました。