外国に住む相続人を代理して遺産分割を行ったケース

相談状況

日本人のお父様X(日本国籍で日本在住)が亡くなりました。遺産としては、東京都内の不動産(時価3億円相当)と銀行預金(時価1億円相当)があります。長女A(アメリカ国籍でアメリカ在住)、次女B(日本国籍で日本在住)、長男C(日本国籍で日本在住)の3人が相続人となりました。Aはアメリカに長く住んでいたことから、日本語があまり話せません。また、Aは高齢であり遺産分割のために日本に帰国するのも困難な状況でした。そこで、Aの娘さんからの紹介により栗林総合法律事務所でAを代理し、遺産分割手続きを進めることになりました。

解決方法

栗林総合法律事務所では、お父様Xの戸籍謄本(お父様が生殖年齢を有する14歳時以降の全ての戸籍)や除籍謄本を入手し、相続人を確定させる作業から始めました。その結果、法定相続人は、A、B、C以外には存在しないことが確認できました。また、Aの代理人としてB及びCと連絡を取り、相続財産を特定する作業を行っています。不動産については不動産登記簿謄本を取得し、登記名義人がお父様Xになっているかどうかや、抵当権その他の担保権の設定がなされていないかどうかを確認しています。また、銀行預金については、直近の残高照会を行うとともに、弁護士法23条照会により取引履歴の取り寄せを行いました。これにより相続開始前後の段階で預金の引き出しの有無を確認することができます。その後、相続税の申告についてB及びCと協議を進め、10か月の申告期限内に相続税の申告書の提出も完了しました。また、Xの遺産については不動産の割合が非常に高く、3人での分割が困難でした。そこで、A、B、Cの3人で遺産分割協議書を作成の上、3人の名義に変更したうえで売却し、売却代金から税金や手数料を控除した残金を3人で平等に分けることができました。栗林総合法律事務所では、不動産の売却手続きや譲渡所得税の申告手続きのサポートも行っています。その後、遺産分割協議書の内容に従い、不動産の売却代金と銀行預金の払戻金の支払いを受け、その金銭をアメリカの相続人Aに送金しております。

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